建設・設備業界における「切実な経営課題」としての承継
2026年6月17日、大和リース株式会社 大阪本店 和歌山営業所様が主催された「安全大会」において、特別講演として事業承継セミナーを実施させていただきました。当日は、主催企業様のみならず、協力会に所属される多くの経営者の皆様にご参加いただきました。
建設・設備に関わる業界は、最新の調査においても全業種の中で最も高い後継者不在率を示しています。事業承継は、もはや遠い未来の話ではなく、業界全体が直面している極めて切実で身近な経営課題です。
「事業承継」の本質:経営・資産・想いの継承
セミナーを通じて最も強調したかったのは、「事業承継とは相続や節税の話ではない」ということです。節税対策はあくまで承継の一部にすぎません。本質的な事業承継とは、以下の3つを次の世代へ引き継ぐ「経営課題」そのものです。
経営(ヒト): 経営権やリーダーシップを誰に託すか。
資産(自社株): 会社を支配する株式をどう移転するか。
想い(理念): 創業以来培ってきた企業の精神をいかに継続させるか。
これらを切り離して考えるのではなく、一体の経営プロジェクトとして捉える必要があります。
準備の遅れが選択肢を狭める「5〜10年の壁」
事業承継の準備には、一般的に5年から10年という長い期間を要します。ここでの重要なポイントは、着手が遅れるほど、経営者が選べる道が物理的に狭まっていくという事実です。
初期段階であれば「親族内承継」という選択肢がありますが、検討が遅れることで「従業員への承継」、さらには「M&A」へと移行せざるを得ません。最悪の場合、これらの手段さえ取れず「廃業」を選択せざるを得ない状況に追い込まれます。
また、自社株の渡し方(生前贈与・譲渡・信託)には慎重な検討が必要です。特に注意すべき落とし穴として、遺留分をめぐる「争族」の発生リスク、経営者保証の引継ぎ問題、そして近年警戒すべき「悪質M&A」への対策についても、具体的事例を交えて解説いたしました。
「うちはまだ先」という油断が最大のリスク
最新のデータによれば、全国の後継者不在率は50.1%、近畿地区においても46.5%に達しています。依然として約2社に1社が後継者を確保できていないという深刻な状況が続いています(帝国データバンク「後継者不在率」動向調査・2025年)。
多くの経営者が「うちはまだ先」と口にされますが、この油断こそが事業承継における最大のリスクです。企業を百年企業へとつなぐためには、この現状を直視し、今すぐに対策を講じる必要があります。
明日から取り組むべき「現状の可視化」という第一歩
セミナーの最後に、経営者の皆様が帰宅後すぐに着手できる「第一歩」をお伝えしました。それは自社の置かれた状況を正確に把握する「現状の可視化」です。具体的には、以下の3項目を整理することから始めてください。
株主構成: 誰が何%の株を保有しているのか。
自社株の評価: 現時点での自社株はおおよそいくらの価値があるのか。
後継者候補の有無: 誰に、どのような形で引き継ぐことが現実的か。
この3点を明確にするだけで、次に取るべき具体的な打ち手が見えてきます。
百年企業への伴走者として
私たちJCFは、弁護士・税理士・中小企業診断士・社会保険労務士・事業承継士/FPがワンストップで連携し、中小企業経営者が直面する「最後にして最大の難関」に伴走するプロフェッショナル集団です。
今回、大和リース株式会社 大阪本店 和歌山営業所の安全大会という貴重なご縁をいただいた皆様の想いを次世代へ、そして企業を百年企業へとつなぐお手伝いを、これからも全力で続けてまいります。(KML)
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